お湯の水割り

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『火ノ丸相撲』が面白い

火ノ丸相撲は面白い。

もともと連載中から読んでいたし、当時も面白いと思っていたし今更何をって感じだが、火ノ丸相撲はおもしろい。

個人的にはこの漫画はジャンプスポーツ漫画の中でも五指に入る面白さではないかと思っている。

どれが五指なのかって決めているわけではないが、おすすめのスポーツ漫画と聞いてスッと出てくることに違いはない。

最近会話に出てきて懐かしくなったので、急遽漫喫に行って全部読み返したんだけど、やっぱりおもしろい。

読み返してみれば連載の時のワクワク感もよみがえってきたので、やはり連載の時からちゃんと追ってその盛り上がりを体感しておくっていうのはとても貴重な経験だったのだなと思う。

 

火ノ丸相撲とは

2014年26号から2019年34号までの間、週刊少年ジャンプで連載されていた川田先生による相撲漫画。

全部で28巻まであり、大きく分けると18巻までが「高校相撲編」それ以降が「大相撲編」に当てはまる。

一般的に高校部活もののスポーツ漫画ではプロ編が後日譚的に書かれることが多い印象がある中で、割としっかりと大相撲編として連載されていた。

そこらへんも印象的な作品だった。

連載終了後にジャンププラスで後日譚的な番外編が掲載されて、最終巻にはそれも収録されている。

 

 

火ノ丸相撲の面白いところ

と言われても何が出てくるわけでもないけど、とにかく面白かった。

これじゃあうまく説明できてないけども……。

最初に読んだ印象はいわゆる「体格に恵まれなかった主人公が挑戦していくタイプ」のスポーツ漫画なんだなということ。

実際主人公の潮火ノ丸くんは相撲界においても特に小柄で、普通にはプロ入りする資格すらない(身長制限)ような状態からのスタートだったし、

そういったハンデを抱えながら立ち向かって言うというストーリーはとても良かった。

成長の中でぶつかるライバルや仲間との描写に関しても押しつけがましい説明が少なく、展開としてスッと入ってくるというか、「確かにこのキャラならこういうよな」という感じが終始あって、個人的にはとても自然なスポーツ漫画だったと思う。

 

例えば印象的なのは、柴木山親方が「体格に恵まれなかった分、環境に恵まれたっていいだろう」と言ったセリフ。

メタ的な見方をすれば主人公一派の強化のための環境、っていうのはどの漫画でも現れることだけど、そのシチュエーションが現れるまでの流れがとても自然で馴染む感じがよいなと思って。

漫画を読んでいる側も、主人公の強い意思や熱量に触れて応援したくなるし、作中のキャラクターもそれと同じような気持ちで応援してあげようとしているのがスッとなじんでくるので、都合の良い展開には見えない。

スポーツをがんばるものを応援したい、という根本的な感情の動きをきちんとできる、展開のキレイな作品だと思う。

 

このシーン以外にも、全体的に説得力のある展開が多いので、とにかくスムーズに読める。

スポーツって多くの人がやったことあったり、知ってる人体の話だったりするので、若干フィクションが混ざるのは当然なんだけど、そのバランス感覚がちょうどよいというか、少なくとも相撲よくわかってないのに楽しく読めるという点は間違いなく面白いと思う。

 

高校編は特に名取り組みが多くて語り始めたら止まらないんだけど、連載の特に感想スレで毎回「ベストバウト更新来たな…」って言われてたのは覚えている。

高校編で特に好きな取り組みは

①バトムンフ・バトバヤル(鳥取白狼)VS 五条佑真(大太刀)

②澤井理音(栄華大付属)VS  辻桐人(大太刀)

③日景 典馬(金沢北) VS 國崎千比路(大太刀)

の三つです。

もちろんどの取り組みも好きなんですが……。

取り組みすべてにテーマがあったりエピソードがあって気持ちが入るし、それ自体が押しつけがましくなく入ってくるのは、少ないコマと描写でキャラクターを説明する技術に秀でているからだと思うし、その分派手なシーンが際立つので、どこを切り取ってもいい作品になっているなあと思うのです。

とくにインターハイ団体戦準決勝の「勝ちたい」をテーマにした5つの取り組みの対比と、

勝戦での「好き、楽しい」をテーマにした5つのの取り組みの対比はどちらもとても気持ちのいい仕上がりで、何回でも読める。

むしろそこを読むために読み返すまである。

高校編で好きなキャラクターは五条佑真です。

 

 

大相撲編は大相撲編でとても完成度が高く、全体的に満足な結果にはなったと思う。

ストーリーの平均年齢が上がったというか、プロとして相撲をするということに焦点が置かれたので、よりシビアな現実の壁や葛藤が描かれるようになっていた感じがある。

鬼丸が燻っている時期が結構長く、本誌で読んでいた時は結構答えたものだが、いざ単行本で読んでみるとスッと進むもので、やっぱ本誌特有のペースってのはあるなあと読み返していって思ったものだ。

高校相撲編は特に大太刀高校にフィーチャリングされていたものだが、大相撲編になってからは一変、各界入りした仲間たちへフィーチャーされる展開が多く、ちょっと群像劇みたいな感じだったのも個人的には面白かった。

いろんな「国宝」に魅力があって、「その生きざまが瞳に宿る」という感じが一貫していて、それぞれが背負っている自負が現れているのが見てみてわくわくさせられた。

もちろん高校組から各界入りしたものも居るし、高校でやめちゃった人もいるし、大学で続けている人もいるし、そのあたりの描写もきちんと残されていて、相撲との向き合い方が人それぞれ、というのがよく表現されていたように思う。

高校編でフィーチャーされなかった力士に当てられたスポットが個人的には良くて、それらと関わって相撲との生き方を見つけ出していく鬼丸、他それぞれの力士のさまが観ていて面白い。

 

大相撲編で個人的に好きな取り組みは、

①鬼丸 VS 大包平(9月場所11日目)

②鬼丸 VS 大典太(9月場所1日目)

③草薙 VS 刃皇(9月場所千秋楽)

あたりですかね……。

実は高校編ほど好きってなる取り組みはないです。

一番好きなのは大包平こと加納彰平くんですね。

彼の人間臭さは病みつきになります。ぜひ。

 

 

 

まとめ(?)

まとめというほどのものはないですが、火の丸相撲は面白いよということです。

  • キャラクターを応援したくなるバックボーン
  • 納得感のあるストーリー展開
  • 派手な取り組み

この要素が読みやすくて面白い大きなポイントだと思います。

そして相撲という知ってるようで知らないテーマをわかりやすく、且つそれぞれの取り組みにおける個性を「相」という形で描写していて、「漫画」のスケールに落とし込んでいるものうまさじゃないかなあと思います。

スポーツ漫画で個人的にはめっちゃ推せるので、ぜひ読んでいただきたい。