お湯の水割り

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『破壊神マグちゃん』が面白い

『破壊神マグちゃん』は週刊少年ジャンプで2020年29号から連載されているギャグコメディ漫画だ。

 

どこかにある海辺の田舎町を舞台に、邪神であるマグ=メヌエク(マグちゃん)が現れ、その封印された体の復活を目指して信徒を増やすために過ごす物語。

ジャンプ本誌においては「オアシス的存在」としても認識されている。

特に呪術廻戦が盛り上がって日々しんどかったころには読者が精神の回復を求めてこの作品を読んでいたとも言われているくらい、ゆったりこころが癒されるそんな作品である。

 

 

邪神たちは海産物とクトゥルフがモチーフになっていて、それぞれに特殊な能力=権能を持っている。

デフォルメ化されたキャラクターは動きがとてもかわいらしい。

それに対するシュールさも相まって、キャラデザと個性がすんなり入ってくる感じがあるのがとてもいいと思う。

異形のものなので多少の物理的ダメージも平気だし、

一方で人間社会に普通になじみつつあるところもあるし、

その個性立ちがそれぞれにはっきりしていてとてもよい。

ファンタジー世界のコメディよろしく権能は物語を動かすためには不可欠だし、

その個性の相性がちゃんとあったりするところが展開としてもわかりやすくておもしろい。

取り巻くコミュニティとしても、

復活した邪神、それに類する邪神、邪神の復活を願う組織、それを封じる組織など、

異形生物VSのバトル漫画のフォーマットを持ちながら、あくまでコメディ漫画のシナリオにのっとっている。

なのでシリアス風な雰囲気を出すこともできるし、

それをぶっ壊すコメディ世界観もばっちり構築されているので、

読んでいてどちらに触れてもいけるんじゃないかとさえ思えるくらいには、それぞれの関係性が丁寧に用意されているなあと感じる。

やはり癒されるというのが一番しっくりくる。

 

 

単純な作品としては一話完結のシナリオが多いけれど、

その中できちんと前振りとその回収が設定されていて、テンポよくキャラクターが動いているのも気持ちよいところだと思う。

全体的にここまで読んできた中ではそれぞれの話が読みやすいというのが良いところだと思っている。

新しい絡みも用意するし、前振りと回収はしっかり抑えるし、天丼はきちんとやるし、

するするとキャラクターのセリフや展開が馴染むので、コメディ漫画としてはとても良いものだなあと思っている。

いわゆる書き文字芸も細かいので、書き文字好きな僕からしてもとても楽しいものだ。

 

 

一時シリアスをするふりをしてやっぱりコメディに戻ってまた新しく動かせる感じも出て来たし、

まだしばらくは楽しく読むことができそうな気がする。

コメディなのでどう着地するかは様々だけど、

逆に意外とすんなり締めてしまうパターンもないわけじゃないので、

今きちんと楽しませてもらおうと思っている。

呪術も戻って来たしな。